詩集の自費出版という゛制度゛について考える

久しぶりのブログになるが、このひと月余りというもの実に忙しかったのである。何が忙しかったかと言うと、実は私は38年ぶりに生涯二冊目となる詩集の制作に没頭していたからである。

詩集のタイトルは『アーシャの日記』という。印刷・製本は大阪の銀河書籍・ニシダ印刷製本というところにお願いした。詩集の自費出版ではあまり聞かない出版社と言ってよい。

詩集の自費出版は、不況とは言え結構盛んであるらしい。大手?の出版社としては、思潮社とか花神社、書肆山田、七月堂、土曜美術出版販売、紫陽花社などがよく聞く名前であろう。

平均的な相場は、300冊で100万円である。これが、1980年代からの詩集の自費出版の゛必要費用゛である。つまり、詩を書き、詩集を出版するというのは結構お金のかかる゛趣味゛だということになる。

今回、私が詩集の制作に投じた費用は、140冊で85,000円である。120冊であれば70,000円、100冊でよければ65,000円であった。知人の詩人たちに話すと、皆一様に「そんなに安いの!」と驚きの声を上げる。

当の私自身が本当に驚いている。実は、この費用の原子は例の政府からの新型コロナ対策の特別給付金10万円である。いくら安いと言ってもこれがなければ詩集の発刊は実現しなかった。

わたしの詩集も300冊印刷すれば、15万円くらいはかかったかもしれない。しかしその差は歴然としている。なぜこんなにも違うのか。引き算をしてみれはすぐ分かることである。

出版社が儲けているのである。詩集の制作費用100万円の約7割は出版社の利益である。あと装丁、校正、写真やイラスト・版画などの費用、約15万円を制作者に支払うことになる。

しかし、印刷・製本会社は相手が出版社であろうと個人であろうと、入ってくるお金はそれほど変わりないということになる。

ただ、これほど安くできたのにはひとつ制約があって、「完全原稿」での入稿が原則となる。あと、細かい修正などについては別費用が掛かる。私の場合、カバーのデザインから写真、レイアウトなどすべて自分でやった。

その結果、上記の金額でできたということになる。ただ、できばえということについては、やはり大手の出版社に比べると、さすがにやや見落とりすると思う。装丁から何からプロがやってくれるものは確かに素晴らしい。

それでも、贅沢を言わなければまずまずの詩集ができたと私自身は満足している。負け惜しみではなくそう思う。あとは゛内容゛であろう。こればかりは変えようがない。しかし、版画や絵画なども額が立派だと作品がよく見えるということもある。

読む人も、立派な装丁の自費出版詩集を読みなれていると、安く作った詩集はそれなりの゛内容゛にしか読めないということもあるかもしれない。そこが不思議なところである。

それにしても詩人の世界とは、なんとおカネのかかる゛趣味゛の世界なのだろう。私もいい歳なので、詩集を出すのはこれが最後になると思うが、本当にこれでよいのかと思ってしまう。

つまり、お金のある人のほうが有利だ、という世界なのである。お金の力は実に大きい。お金のある人のほうが、何冊もの自費出版詩集(時には評論集も)を出せ、それなりの詩人のような顔ができる。

最近は、ネットで「安くできる自費出版社」の宣伝を多く見かける。見積もりも簡単にできる仕組みになっている。完全原稿が前提とはいえ、自費出版が安くできることは良いことだと思う。